近頃の我々は電燈に麻痺して,
照明の過剰から起こる不便と云うことに対しては
案外無感覚になっているらしい。
まあどう云う具合になるか,
試しに電燈を
消してみることだ。
(谷崎潤一郎『陰影礼讃』より)
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オレンジ色の輝き いのうえ つとむ
裸電球が部屋の真ん中についていて
ソケットの豆電球をおんぶしていて
細い紐を引っ張ると
カチッと音がして豆電球がついた
部屋にはこの電燈が一つなので
家族が薄いオレンジ色の光を囲んで
一家団欒 みんな一緒にご飯を食べた
麦ご飯と味噌汁と沢庵だけれど美味しかった
同じオレンジ色でも
ナトリウムランプで輝くシカゴの街路灯は
レモンを混ぜたオレンジ色だそうです
街を温かく包んでいることでしょう
けれど僕には豪華な電飾よりも
子供の頃のあの裸電球の
薄暗いオレンジ色の輝きが
一番よく似合うのです
祖父や父が莚やカマスや俵を編んで
おばあさんが漬物を漬け母が縫い物をして
遅くまで夜なべをした
あの裸電球のオレンジ色が好きなのです
僕という一人の人間が輝くとしたら
あの裸電球の薄暗いオレンジ色かも
(2005・10・27)
(この詩は雨さんのコメントに寄せ感謝して、雨さんに贈る)
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- 2005/10/27(木) 04:47:24|
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