明るい病室だ
友人は目を開けていた
「お父さん、分かる、分かる、」・・・
「いのうえさんだよ」と
僕の名を言いながら
奥さんが大きな声で呼びかけた
解ったかのか解らないのか 無表情
目は開いているけれど 無表情
頑丈な体が今は痩せてベットの上に
大きな脳の手術をして左半身麻痺
僕が手を握ると握り返した
温かい手だった
「分かったんだね」と奥さんは笑顔
僕はしばらく手を握っていた
温かいというより熱い感じ
それでもやはり 無表情
僕の顔をジッと見つめて
記憶をたどっているようにも見えた
「3ヶ月までここにいられるのよ」
「3ヶ月過ぎると置いてくれないの」
「置いてくれるところを探さなければ」
「遠くの病院になるかもね」
病院って 何と非情なのだろう
別の病院に移らなければならないとは
窓の外を見ると彼岸花が咲いていた
ことさら寂しく咲いていた
(2005・9・29、友人を見舞う)
拍手喝采!・・パチパチ←ここをクリックみなさん応援してください
スポンサーサイト
- 2005/09/30(金) 08:09:10|
- 私のうた|
- トラックバック(-)|
- コメント:6