死よ 僕を誘わないでくれ
このくらい道を歩きたいのだ
淋しく悲しく泣きたいのだ
顔を両手で押さえ
涙をみんな流すのだ
死よ 僕の袖を引かないでくれ
家路
冬も近い
秋の夜である
星の無い 暗い夜である
ヒュウォー ヒュウォー
寒い風が頬を打ち
胸の中まで染みとおり
心の割れ目に染みとおり
ざわざわ
ざわざわ
ざわざわ
落ち葉が足元で騒ぎ立てる
暗くて悲しい
病院の帰り道
ただ自分の胸を
しっかり抱くように
ひたすら 家路を急いだ
いものめ
くれがたの
いもの あなぐら
さつまいもが かさねられ
さつまいもが かさねられ
くらく かびのにおい
ねずみの しようべん
こうろぎの しじゅうそう
へびは くびあげ あめあがり
ほそく しろく
かべ はいあがる いものめ かなし
やむひとの てのひら
あわされ
いのりしずかに
(昭和27年11月)
いものめ
くれがたの
いもの あなぐら
いもの あなぐら
さつまいもが かさねられ
さつまいもが かさねられ
くらく かびのにおい
ねずみの しょうべん
こうろぎの しじゅうそう
へびは くびあげ あめあがり
ほそく しろく
かべ はいあがる
いものめ かなし
やむひとの てのひら
あわされ
いのりしずかに
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