秋雨　　いのうえ　つとむ

ざわざわ　ざわざわ　
ざわざわ　ざわざわ

時たまザーッアと
晩秋の雨は冷たく
透明のビニール傘を打ち
指先が少し・しびれる

ざわざわ　ざわざわ　
ざわざわ　ざわざわ

街の景色は雨にけぶり
雨脚が傘を透かして見える
スーと頬に伝わる涙のように
幾筋も糸を引いて

ざわざわ　ざわざわ　
ざわざわ　ざわざわ

小脇に抱えた
夕刊の束が人肌の温かさ
透明のビニール傘の中の
小さな空間

ささやかな至福
一時の僕の世界




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『　パイナップル　甘い香りは　母の味　』　でんどう三輪車
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
（絵夢ちゃんの・しりとり川柳より）

子どものころはバナナも口に出来なかったよ・・パイ缶を頂いて甘くて美味しかったよ・・母が一切れ一切れ分けてくれた・・ほんとに美味しかったね・・今は何でも口に入る・・贅沢な食生活におぼれて・・本当の美味しさを知らない・・戦中戦後の食料難の時のパイナップルの美味しさは忘れられないね。

　

パイナップル　　いのうえ　つとむ

キコキコ
キコキコ
パイ缶の蓋を切る

キコキコ
キコキコ
パイ缶の蓋を開ける

キコキコ
キコキコ
パイ缶の甘い香り

キコキコ
キコキコ
遠き母の想い出




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　曼殊沙華　　いのうえ　つとむ

寂しい
淋しい

寂しいという字が並んでいます
淋しいという字が並んでいます

寂しいという顔が並んでいます
淋しいという顔が並んでいます

寂しいという華が咲いています
淋しいという華が咲いています

曼殊沙華　
墓場のそばで咲いています

ひとはみなさみしいのです



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