少年そして明日へ いのうえ つとむ
二月も半ばを過ぎても風の強い日が連日続く。
低気圧の仕業というが其の強さは夏の台風並である。
富山では高波に襲われて波にさらわれた人もいた。
家屋も津波の餌食となったようだ。
この強風の被害が夕刊に大きく報じられて、其の夕刊を小脇に抱えながら配達していた。
ふと気が付くと後ろから少年が近寄ってきて、「おじさん僕を覚えていてくれた?」と声を掛けてきた。
顔をよく見ると懐かしい覚えのある少年だ。
「覚えているよ」と答えると少年は「覚えていてくれたあー」と嬉しそうに・・にこりと微笑んだ。
「今日は学校が早く終わったのだね」・・「うん、6時間だったよ」。
夕刊をポストに入れていると「おじさん気をつけてね」と言い残して少年は広場に走っていった。
少年の後姿を見送りながら、何年か前の事を思い返してみた。
電動三輪車が珍しく「乗せてよ」とハンドルを取った子等の一人だった。
新しい自転車をお父さんに買ってもらったと言って配達の後から連日のように付いてきた子もいた。
わざとこちらの車輪に体当たりしてきた腕白盛りの子もいた。
少年たちは2年から3年経ち高学年になると学校や塾が忙しいのか夕刊の配達に出合う事が少なくなった。
それぞれの子供達がしばらく見ない間に大きく成長して見違えるほどになっていた。
少年には夢があり希望があり大きな将来がある。
そして僕も日に日に歳を重ねていることをかみ締めるように思うのである。
(2008・2・27)
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