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走れ!でんどう三輪車
齢70にしてブログなるものに挑戦!人生まだまだこれからですよね(^^)//。俳句や詩歌を趣味として又釣り人として、 、、、、、はたまた「でんどう三輪車」として、日々の出来事を綴ります。

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小さな旅

 いのうえ つとむ

土曜の夜、話のついでに「疲れて足がしびれるので箱根の温泉に行って来る、疲れが取れるから・・行くかい?」とメールを送った。
すかさず、「行く!仕事が片付いたいたので明日は1日あいている」と返事が来た。10時に洋光台駅で待ち合わせと決めた。彼女は忙しい人なので土曜も日曜もまず空いていない。「行く!」という返事が来るとは思っていなかった。財布を見たら3千円だけしか入っていない。どこかに1万円札がないか探したが無い。待てよ?日曜日は郵便局も銀行も休み、カードが使えるだろうか?。妻は風邪で行けないと言うし、あいにく千円しか無いとも言う。「9時からならカードで引き出せる」と聞いて一安心した。待ち合わせを10時にして良かった。

日曜の朝になって9時半に妻と銀行に行きカードで軍資金が出来た。まだ早く寒いので駅前の喫茶店で待つことにした。
隣の席の青年がタバコをふかし煙をよけながら窓の外の駅に来る人たちを見ていた。ゆっくり来る人もいるが大方急ぎ足だ。日曜だというのに走って来る人もいる。
会社に勤めているときは朝の出勤は忙しかった。1分2分が勝負だった。よく走ったものだと思いながら窓の外を見ながら待った。

「私も毎朝戦争よ、これだけは学習できないのだなー。走るんだー」
と言う彼女と笑いながら駅に向かった。改札を入ってから「みかちゃんは常に切符を使わないから落とさないようにね、僕はこの前出る時に切符が見当たらなくて困ったよ」「そうね落とさないようにね」と話しながら階段を下りた。

大船で乗り換える時切符を念のため調べた。
「あれ!無い。切符が無い!確かに入れたはずなのに無い」みかちゃんはポケットもかばんも見ても何処を探しても無い「みかちゃんお財布と切符を入れたのを見たよ」「仕方が無い、きっと後になってから出てくるんだよね」そう話しながら熱海行きの電車に乗った。

電車は空いていて二人とも並んで座ることが出来て話が弾んだ。「うちの奥さんはね、猜疑心というのが無いよ、嫉妬もしないよ、普通いくらおじいさんとはいえ若い娘さんと日帰りの温泉に行くと成れば焼きもちで大変だよ」「そうだよねー・奥さんは心が綺麗なんだなー」それから、もっぱらブログの話が話題だった。話に夢中になって乗り越してしまい終点の熱海駅についてしまった「終点が熱海でよかったね、沼津だったら何処まで行ったかね」それほど話が弾んで又小田原まで逆戻りした。

「本間寄木美術館に寄りたいけれど、体験教室があって作りたいんだー」彼女はインターネットで調べてきたのだ。
小田原から湯元の間の入生田駅から10分ほど歩いて少し大通りの中に入った目立たない所にあった。

教室の予約時間前に美術館で説明を聞きながら江戸時代からの精巧に出来た寄席木細工の大小様々の工芸品に見とれていた。その美しさに感心するばかりだった。
教室ではオリジナルの模様のムクコースター作りを体験した。菱形の柄の違った寄木が12枚セットになっていて、思いのままのデザインで組み合わせる楽しい工作だ、子供心に帰って作った。話し好きの先生の話を聞きながら楽しい思い出になった。

「温泉は熱めだけれど大丈夫?」「うん大丈夫」「出る時間だけ決めよう、5時45分」2時間の長風呂、彼女は僕のペースに合わせてくれたけれど、ほんとに大丈夫かな?と思いながら、いつものように痺れる足をマッサージしながら、ゆっくりお湯に入ったり掛け湯をしてなじみのお客さんと話しながら疲れをとつた。

45分の時間前にタオルを巻いて休憩の椅子を見たら、彼女がすでにソファーに座って「あ!見たよー」と笑いながら声を掛けて来た。それから急いで洋服を着た。椅子に座りながら「待たせた」「ううん、今出たところ」
「これ呑むと美味しいよ」温泉をコップに汲んできて呑んだ、ほんのり塩分を感じるほどの無臭の温泉。「あ!美味しい・スゴーイ、美味しい」本当に美味しそうだった。

「これを毎日三度温泉に来て呑んで胃癌がよくなったというお爺さんがいるよ」「へー温泉て良いんだねー」と話していると隣に座って休んでいた70歳を越したかと思われるお爺さんが若いみかちゃんに話しかけてきた。

「温泉は良いなー温泉が一番良い、ところで世の中が悪くなつた、終戦後は人を見たら泥棒と思えと言っていたよ、人は信用したら駄目だよ、まず自分を守ることだよ、今もそうだ、株が上がったと喜んでいる人もいるが、とんでもない、日本はいつ破産するか分からないよ」戦時中のことからこと細かく数字を挙げて話していた。「へー」「へー」とお得意の相槌を打ってみかちゃんは返事をしていた。「人は悪い人ばかりではないと思うよ・・そう思わなければ寂しいよ、良い人と悪い人とをよく見分けなければね」と自分の意見を述べながら少々反論もしながら話を聞いていた。

温泉から大平台の駅まで約5分で着いた。
帰りの電車に乗ると「これ大船の駅に付くまでに詩を書いて、宿題よ!私も書くからね」そう言ってみかちゃんに下書き用のノートと寄木の貼って在る葉書を渡された。
「参ったなー・・こんな策略があったんだ、でも凄いね、とっさに考え付くんだね。企画力が在るんだなー」「うん、今を最高に楽しくしたいよね、と思うんだ」
二人は電車に揺られながら旅の詩人にになってボールペンを握った。
 
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 湯上り   みか

ジュースじゃなくて

コーヒーじゃなくて

ビールでもカクテルでもなくて

差し出してくれたのは

なみなみ注がれた人肌の温泉

目じりをたれ下げきって

たれ下げ合って

ブタとペンギンのコップで乾杯

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 登山電車  いのうえ つとむ

ゆっくり ゆっくり
紅葉は散り始め

ゆっくり ゆっくり
枯葉が揺れて

ゆっくり ゆっくり
旅は二人ずれ

ゆっくり ゆっくり
登山電車は走る

ゆっくり ゆっくり
今日の一日

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大船駅に下りて、「てんや」で夕食、安くて美味しいからと大船で食べる事にした。
出るとき食事代を渡したら「駄目よ、じゃぁ、このぶん奥さんにお土産
ね」といってケーキを買ってくれた。
「これからも自分のものは自分で持つ、割りかんよ」そう言って決して
おごらせようとしない娘さんである。金銭感覚が綺麗な娘さんである。
葉書に書いた詩を何度も読みながら「凄い宝だ、嬉しい、嬉しい」と喜んでくれた小さな旅であった。楽しい旅であった。

(2005・12・11)
(このエツせーと詩は心の友・みかちゃんに贈る)


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  1. 2005/12/12(月) 06:22:35|
  2. 小説・エッセイ|
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