「ねーねー、今度回覧板の係りになったのよ」
そう言って親友のmちゃんが見せてくれたのは『団地の回覧板』であった。
其の回覧板の表紙に写真が二枚貼ってあって、一枚はミシンに上糸が張られていてその糸の上を小さな虫が這っていた。
もう一枚はそれを拡大した写真で蟻のように見えた。
「危険な道をわざわざ歩かなくても」というようなコメントが書き添えてあった。
ふとこのコメントに僕は人間の生き方を連想した。
人はわざわざ危険な道を選んで生きているのかもしれないとも思った。
他にもおばーちゃんに頂いたメロンを可愛いイラストにしてコメントが書添えてあるのもあった。
ほんの少しの心使いが14軒の人たちの気持を和らげているのだろうと思った。。
それぞれの回覧板に写真やイラストやコメントを書き添えて階段の人に回しているのだという。
団地という所は「隣の人は何をする人ぞ?」というような所だ。
こちらが挨拶をしても知らぬ顔をして通り過ぎていく人もいるように寒々とした人間関係になりがちだ。
そういう団地で生活をしている若いOLさんのちょっとした気心がこの階段の人たちの心をどれほど豊かにしている事かと思った。
「『至急』と書くと3日で戻ってくるのよ」と彼女は微笑んだ。
普通は何処かの家で止まってしまい一週間は戻ってこないものだ。
ほんの小さな心使いが世の中を変える・・人生を変えるのかもしれないと思った。
(2008・11・5)
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