秋の空は何処までも青く
楓が紅葉して
黒い椅子の上にも
散っていた
あるとき
若いカップルが来て
椅子の膝の上で
いつまでも抱擁していた
激しく愛撫していた
それでも椅子は黙っていた
あるとき
子連れの夫婦が来て
椅子の膝の上で
土足で子供があがって
何度も飛び跳ねた
それでも椅子は黙っていた
あるとき
詩人が一人来て
七十年の人生を省みていた
静かに何時間も座っていた
立ち上がって
「有り難う」と言った
椅子は初めて礼を言われた
「有り難う」と
再び聞けるだろうか
椅子は紅葉した
落ち葉を抱えながら
夜空の星を見ながら思った
(2005・11・15)
(この詩はnicoさんの写真に寄せて、nicoさんに贈る)
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- 2005/11/15(火) 19:35:12|
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